子どもの「こころ」を育てる演劇鑑賞~その教育的意味~

人形劇団ひとみ座代表・中村孝男さん 講演会

◆日時:2023年2月4日(土) 14:00~16:00
◆場所:市川市文化会館・第2会議室
◆参加人数:38人(一般3人、会員35人)

市川子ども文化ステーションの事業の三本柱の一つが舞台鑑賞事業。心を揺さぶられる演劇体験がなぜ大切なのか、それが子どもの成長の大きな手助けになっていることを、今回は演劇の作り手側からの視点で中村さんに語っていただきました。対象は子育て世代の保護者、教育・保育関係者、子育て支援者、演劇に興味のある方として、取組みました。

ウレタンのブタさん人形や、単純なつくりのペープサートを用いて、人形劇のもつ魅力や力をお喋りしながら演じてみせてくださいました。託児予定の子どもさんも一緒に観て、演じている人と人形を間近にみて惹きつけられ夢中になっていました。
中村さんの長年にわたる俳優業のなかでのエピソードや想いを中村さんの言葉で聴ける貴重な講演会となりました。

『想像すること、心が動くこと、共有すること』
・人形を動かしているのは、人形遣いだが、人形に命を吹き込んでいるのは「観ている人・観客」

・舞台側の演技という発信を受け止めて受信しているのは観ているお客・子どもたちの豊かな感情や想像力があってこその世界が繰り広げられているのです。

・想像力で命をもらった人形たちと一緒にハラハラドキドキして、感情を動かされていく疑似体験を経験しています。子どもたちは、劇の中に入り込み、そして観客どうしである友達との感情の共有を確かめたり、いとも簡単に入ったり出たり、自由自在に楽しみます。

・そういう環境・場面が体験できるのが生の舞台であり、会場の一体感を生み出します。

・一緒の舞台をみた場合、その楽しかった思い出は反芻することができ、心に刻まれていくのです。

【参加者の感想より】
・「人形に命を吹き込んでいるのは人形遣いではなく、観ている人だ」という言葉が心に沁みました。 ・導入のペープサートやブタさん人形で会場の空気がまるく優しくなりました。大人についてきた子どもたち(大人も)の心をあっという間につかんだのは「さすが!」と思いました。 ・演劇を観て心が動き、様々な感情が生まれたり擬似体験をすることで、子どもの感受性や感情表現を豊かにする。観た時の思いを共有することで、他者とのコミュニケーションを豊かにする。この目に見えない心や生きる力を培っていくという数値化できない働きが、生の舞台鑑賞によって育まれていくのだと知り、子どもにこそその体験をさせたいと思い、親子でも共有したいと思いました。